「 ──…無茶な真似をする
 ものだね、君も 」

 人形もどき(仮)は、濡れた
 髪を軽く振って、振り返っ
 た 。

 でも、本当に人形みたいで
  。

 目が合って、笑い掛けられ
 る 。

 「 大丈夫 ?フェンが迷惑か
 けたみたいだね 」

 「 君が出てこないのが悪い
  」

 「 言い掛かりはよしてよ…
  。僕が来なかったらどうす
 るつもりだった訳 ? 」


 待ってよ、どういう意味 ?

 でも、そんな心は表せなか
 った 。寒いのと、怖かった
 のでおかしくなっている 。


 「 それはまた今度…──警
 察やら何やらが来る前に帰
 るよ 」

 「 立てる ? 」

 「 ん…──うん 」


 濡れた睫毛の下で、綺麗に
 笑う少年を、青年──フェ
 ンネル──は、







 「 アリス 」





と呼んだ 。