キィイイィィィィ─── !!


 一瞬、何が起きたか分から
 なかった 。


 仁花の目の前で、電車が 。



 滑るみたいに、仁花の隣を
 鉄の塊が駆け抜けた 。

 「 ! 」


 脱線 。




 こもった人間の叫び声 。
 ガタガタとドアが揺れる 。

 怖い 。

 耳を塞ぎたくなるけれど、
 手は繋がれたままで 。






 コツコツと足音が近付いて
 くる 。


 仁花の目の前で起こった
 奇劇に、拍手が散った 。


 騒々しいこの状況に、不釣
 り合いな拍手 。



 「 流石 」