「こんにちは」

え?

その声の方に振り向くと、女が車から顔を出した状態でいた。

「初めて会うよね?私、田中柚愛っていいます。これからよろしくね」

田中...柚愛?
そこかで聞いたことあるような、ないような―...

「こ、これからって...また来るのか!?」
「うん。私走るの始めたばっかりだけど、ここ気にいっちゃった。空気も気持ちいいし」
「ちょ、ここは俺の...」

ここは俺の場所なんだ!

そう言いたかったけど...

「じゃあ、私はこれで」
「あ、ああ...」

なんだか、言えなかった。
その原因も、何となくわかる。

「あ、あの。ちょっと待ってくんねぇか?」
「はい?」

この曲、何ていうんだ?

「この、」

曲が気になるんだ...。

「曲がっ...」
「曲?」
「なんか...気になって」
「題名は"BOY MEET GIRL”。アメリカのアーティストさんの曲よ」
「BOY MEET GIRL、か...」

洋楽なのか。
友達に洋楽マニアがるから聞けば知ってるかな。

「ありがとう。じゃあ」
「はい。それでは」



そして、俺たちは別れた。