柚愛が俺の車に駆け寄った。

「ち、ちょっと待っ・・・!」

―――ドサドサドサッ

「え・・・?」

彼女の驚いた顔。
・・・こういう風に見せるつもりじゃなかったんだけど、・・・ま、いっか。
この顔が見られただけで一番だ。

「プリン・・・?」

・・・そうだ。
120個の、種類様々なプリン。

「お前に世話になった分のプリン・・・。中学ん時毎日持ってきてくれただろ?」
「え、でも、土日とかは行けてなかったし・・・」
「その分は俺からの気持ちってことで♪」
「・・・ありがとう」

カスタード味。
チョコ味。
抹茶味。
イチゴ味。
かぼちゃ味。

プリンの色でカラフルな袋の中に、彼女の涙がこぼれた。

「・・・私のこと、気づいてくれたんだよね?」
「そういうことになるな」
「私、あの頃ね、向平くんに嫌われてたのかと思ってたから・・・。正体バレたら、もう会ってくれないと思ってて・・・」
「・・・んなことねぇから」
「え?」