―「あの時から変わってない」?


「あは、ごめんねっ。勘違いしちゃった!あははっ・・・」
「俺、帰る」
「え...」

俺がくるっと後ろを向き、車へと近寄った。
ポケットからキーを探る。
ジャラッという音が鳴った。

「こっ、向平く...」
「絶対、嫌わねえから」
「...?」
「だから、俺がお前の余計な力を抜いてやるって!」


...ああ。
なんて不器用な俺の口。

言いたいことがまだ完全に伝わっていないけれど、女は「分かった」と言って手を振った。


「...プリン」
「は?」
「キーワードは、プリン!」


車に乗って角を開けると、そんな声が聞こえた。

―――プリン?


曲がり角まで、彼女は必死に手を振っていた。