『あと見てないといえば向平の部屋くらいよ。まったくあんたの部屋は汚くてあったとしてもその前に一週間は掃除してから探さなきゃいけないくらいよ』
「悪かったな」
たしかに俺の部屋には足場はないが。
『そこは向平にお願いするわ。多分そこにあると思うから!』
「あいよー。んじゃな」

―――ピッ。


「どうしたの?」
そう言うように女が窓からのぞきこんできた。

「何でもない。ちょっと探し物」
「探し物?」
「ああ、中学ん時の卒業アルバムなんだけどさ、見つかんなくって」
「中学の...卒業アルバム?」

―――あ。

こいつに言っても、良かったんだっけ?

でも、俺は言いたい。

こいつは、何でも言い合えるようになった仲だからな。



...



「卒業アルバム?」と言ったと同時に、女は暗い顔をして俯いた。