レンタル浮き輪屋で空がすっぽり入る浮き輪を借り、流れるプールへと向かう。


休日で最近急に暑くなったこともあり、すでにたくさんの先客がだらぁ~と流れていた。


『ふひゃあぁ!つめたっ!でもきもちぃ~!兄貴っ!超きもちぃです!』

「似てねぇ…」

下り坂状の入り口からプールに入る。
水面はちょっとぬるいが、足首の深さではもう冷たさ全開だった。


浮き輪に体を預けて空は無力無抵抗でクラゲのように流れていく。

その浮き輪に乗っかり、机で寝るような体制をとる。


『ふあぁ~、やばいねぇ、この気持ち良さは…。学校のもよかったけど、やっぱこの流れる感じがいいねぇ。』

水中で足を絡ませたり、頭を揺らしてこすりつけてくる。


「2日連続プールはさすがに疲れるかと思ったけど、来て正解だったな~…。」

『だねぇ~。今度は大地と緑ちゃんも連れて来たいねぇ。』

「そういや、雪田たちもこのプールにいるのか?」

『さっき見つけたよ。ちょうど反対側。頑張って手はつないでるみたい。』

「そか。」


バナナ型の浮き輪が反転して搭乗者を振り落としたのを笑っていると、視界の端で見慣れた人を捕らえた。