しっかりと施錠をし、ビニールバッグをかけて駅へと向かう。


エントランスを出てすぐ、コンクリートは陽に焼かれて蜃気楼を起こそうとしている。


「今日は日焼け止めちゃんと塗ったな?」

『もちろんだぜ。抜かりねぇっすよ!』


……何キャラだよ…

意を決して蜃気楼に一歩踏み込む、熱気があごを通り、反射的に汗が出たのが分かる。

「雪田のやろう…これで遅刻したりしたらジュース奢らせてやる…」

『逆に超楽しみで1時間前からいたりして…』

「ははっ、あるかもな。むしろこっちが遅刻してしばらく二人っきりにさすか?」

『あ、いいねぇ~!』


「………。」
『………。』


「『はぁ…あつっ…」』


冗談の言い合いもこの暑さじゃ空元気だ…










───…20分前
駅前にて…

「は、早いね…冬真…」

「こ…木乃香こそ…」


気まずい二人は40分前から集合していた…