何度もエナメルバックをからいなおし、慣れない言葉を発する。

「……なにが?」


「いや、俺も木乃香もこんなだからさ。お互いちゃんと誘えなくて…。お前らが機会作ってくれて…。」

見た目や言動よりずっと奥手で真面目な雪田、ちゃかすのもかわいそうだな。


「そう思うなら、明日はお前なりにちゃんと準備して来いよ?俺や空は、1から10まで協力してやるわけじゃないんだから。」


『呼んだぁ~?』

今度は空の声が背後からした。
相も変わらずの神出鬼没っぷりです。


「あ、いや。なんでもないんだ。うん、それじゃあ二人とも、明日な。」


「あぁ。」
『部活いってらっしゃ~い。あしたね~!』


少しテンション高めに、雪田は今日もバスケ部へひた走る。


「さて、俺たちも帰るか。」

『うん。』


「ちょっ!ちょっ待った!海!」