「『いっただきま~す!」』

透き通った二つの声が、食卓を囲う。

今日の朝ご飯はソーセージオムレツとロールパン。
牛乳、砂糖、チーズを混ぜた高カロリーオムレツだが、朝ご飯はこれぐらい食べないと頭が回らない。


はみ出したチーズを絡めながら風羽海は至福の顔を浮かべる。

つむじに大きな寝癖があるものの、整いすぎたその顔は今日もかっこいい。

長く細いまゆ毛にそこそこの堀のある骨格、若干大人びて見えるが、これでもまだ高校一年生。


『今日は隠し味に少し醤油を加えてみたんだ。どうかな兄貴?おいしい?』

「うん、んまいよ!最近どんどん上手くきたな空は。」

『えっへへ~、やっぱりそう言われると嬉しいな…』


向かい座る空と呼ばれた女の子は、海と同い年とは思えないほど幼な…いや、若く見える。

長い茶色気味のストレートの髪、黒目の比率が高い大きな丸い瞳、ぷにぷにした頬に負けない薄桃色の唇。

かわいくないポイントが見つからないこの少女こそ、風羽空。
海の妹にして彼女。