何事も無くプールが終わり、ふわふわした空気の中三限目の授業を迎える。

髪の長い子や空は肩にタオルをかけ、自然乾燥を待つ。


疲れで雪田は爆睡、他のやつらも、あくびが耐えない。


「ふ、あ~ぁ…」


「眠そうだね、海くん。そんな海くんに、ブラックガムをあげよう。」

横に座る緑が、ポケットから真っ黒なガムを出す。
苦さと清涼感バツグンの目覚ましアイテムだ。


「おぉ~、あんがと。てかよく緑ちゃん起きてられるな。」

「さすがの海くんでも眠いんだ?私はそんなに泳いでないからね。足つけてパチャパチャやってただけだから。」


一口噛むと涙が出るほど苦い。おかげで目が冴えてきた。


「ふあぁ、にがぁ…」


「ふふ…、私もまだ慣れてないんだ。大地は好きみたいけど…」

「あいつ舌だけは妙に大人なんだよな。」

「あ、やっぱり?チョコとかもにが~いの食べてるし、コーヒーも砂糖入れないし…」

「俺は甘党だからあれは理解できないんだよな。…大地のこと、よく見てんだね?」


緑は顔を赤らめて、照れながら、まぁね、と返した。