「造花なんで、どこまで花言葉に意味があるのか分かりませんけどね。」



「本物は無いんですか?」



「残念ながら、青いバラは、それを作った企業が、売っているだけしかないんですよ。・・・当然、こんな町の小さな花屋には、手に入りません。さらに、売り切れで10月までは、どうやっても手に入りません。」



今は、まだ、初夏である。



今から3ヶ月以上は、手に入らない計算になる。



「だったら、造花で。」



「はい。それでは、青いバラの造花と赤いバラ3本でよろしいですか?」



リョウは、店員の言葉に肯き、財布を取り出して、代金を払う。



そして、小さな花束にしてもらって受け取った。



「どうも。」



リョウは、笑顔で花屋の店員に挨拶をすると花屋を出て、駅へと向かった。



時刻は、2時になっていた。



まだ、かなり待たないといけないが、リョウは、すでに目的地である駅へ向かおうと思っていた。



(いつも、待ち合わせでは、アヤを待たせていたんだから、今日くらい俺が、長く待たされてもいいだろう。)



リョウは、待ち合わせの駅へ向かうために、ケーキ店の最寄の駅から電車に乗った。



そして、リョウの心は、すでに、今日から始まるアヤとの新生活に心躍らせていた。