運命の歯車-不思議の国のアイツ-



「どうやって、番長になったんだ?」



茶化すわけではなく、真面目な表情でジュンに尋ねるコウ。



「それは・・・自分が番長だって言うわけじゃなく、周りが決めることだからな。・・・俺の場合は、2年の時に3年の当時番長と言われてた奴に喧嘩で勝ったから、自然と番長に祭り上げられたんだけどな。」



当時を思い出すように、斜め上を見ながら、ジュンが話す。



「要するにトップを倒せば、倒した奴が次の番長って訳か?」



「・・・いや、全部が全部そういうわけじゃないが、不良の世界も意外と単純だからな。そういうことが多いと思うぞ。・・・元々、強いものに憧れて不良してる奴多いしな。」



再び考え込むコウ。



そして、しばらく考え込んだ後で、ベンチから立ち上がると、ある若者の前に立つ。



その若者は、先ほどコウと喧嘩した紅蓮の5人の内の一人だった。



喧嘩した場所から、この公園まで、5人は、20人に囲まれて連れてこられていた。



「俺、山下コウっていうんだ、よろしくな。」



満面の笑みで右手を差し出すコウ。



その様子に周りが、少し緊張した空気をかもし出す。



その中で、一番、緊張した空気をかもし出していたのは、その手を差し出された紅蓮の5人の内の一人だった。



言葉には出さなかったが、その表情には、『こいつ、何考えてんだ?』と思っていることが、ありありと刻まれていた。



しかし、コウは、その表情を見ても、気にせず、笑顔のままで、差し出した右手を引っ込めようとしなかった。



「・・・俺は、レイジ。」



紅蓮の一人は、仕方なくといった表情で、恐る恐る、コウの差し出した右手を握った。