「ほら、パンもあるから食えよ。」



「・・・顔に似合わず、気が利くんだな、ジュン。」



ジュンの言葉に驚いたような表情で、ジュンを見つめるコウ。



「・・・うるせぇーよ。いらねーなら、俺が食べるぞ?」



少しテレながら、ジュンは、コウに差し出したパンを引っ込めようとする。



「悪い。もらうよ。」



コウは、笑いながら、ジュンからパンを受け取った。



「・・・本当に大丈夫なのか?」



ジュンは、真剣な表情になり、パンをおいしそうに頬張るコウを見た。



「んっ?何がだよ?」



口の中いっぱいにパンが入った状態でコウが、返事をした。



そのため、口の中のパンの欠片が、少し地面に落ちた。



「いや・・・その様子なら心配ないようだな・・・。」



ジュンは、コウの怪我の状態を気にして声を掛けたのだが、パンを食べるコウの様子を見ると、自分の心配は、杞憂だということがよくわかった。



「・・・それより、これだけの人に見つめられると、さすがに食べにくいな・・・。」



コウが、コウとジュンが座るベンチの周りに立っている若者達を見ながらつぶやく。



「・・・・食べにくいなら、食べにくいように食べてくれない分からないぞ、コウ。」



コウの食べっぷりにジュンが、呆れた様子でつぶやく。