「それで、誰にやられたんだよ、マサヤ。」



落ち着いたところで、再び、マサヤに尋ねるリョウ。



「・・・・・・。」



マサヤは、無言のままだった。



「・・・まぁ、言いたくないなら構わないけど、俺は、友達がやられて黙ってられるほど、我慢強くないからな。やり返す時は、俺に言えよ。」



リョウは、マサヤを見た。



「・・・ありがとう、リョウ。」



マサヤは、リョウにお礼を言ったが、その表情は、どこか感情が抜け落ちたような表情だった。



「・・・・マサヤ、泊まっていくか?」



「・・・いいの?」



「ああ、俺、朝、早いけど、合鍵渡しておくから、好きなだけいていいぞ。」



リョウは、マサヤに合鍵を渡す。



それから、マサヤとリョウは、順番にお風呂に入った後で、眠りについた。



翌朝、早くにリョウが目を覚ました時、すでにマサヤの姿は、部屋の中になかった。



「・・・・・どうしたんだ、マサヤの奴?」



リョウは、少しマサヤの事を不安に思いながらも、仕事に行くために急いで準備をしてアパートを出て行く。



そして、仕事場であるケーキ屋に着いた時、すでにマサヤのことは、頭から抜け落ちていた。