ありえない…。 うん。普通にありえないよ…。 殆どの人ならここで彼氏を叩き起こして怒るよね? でも仕事帰りの今のアタシにはそんな気力もなかった。 込み上げてくる涙をぐっと我慢し、健ちゃんの部屋を後にした。 自分のアパートまでの道のりを1人でとぼとぼと歩く。 ここでやっと涙を流せた。 この時アタシは、向かいから歩いてくる人に気付いていなかった。 相手の顔がようやく分かる頃、前方から声をかけられた。 「見習い?」 .