アタシの事を名字で呼ぶのは1人しかいない。



少し後ろに下がり左側の通路を見ると、首からタオルをぶら下げた廉さんがこっちに向かって歩いてきた。



「なにしてんだ?1人で」


「みんな寝ちゃてたから、温泉に入ろうかなぁって。廉さんこそ何してるんですか?」


「俺も風呂の帰り。さっきは騒いでゆっくり入れなかったからな」



なんだろう。



このいつもと違う胸がくすぐったい感じは…。



「おい!聞いてんのか?」


「あ!えっ!?」


「ったく…。行くぞ」


「行くってどこに?」


「着いてこい」



言われるまま、廉さんの後を着いていった。




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