あーあ…… またやっちゃった。 前の席の沙也加が振り向いて、ぷぅっと頬を膨らませるから、ちろりと舌を出してみる。 「起立 礼!」 終了の合図と共に教科書を詰め込む。 ま、授業の間にあらかた片付けてたから、ノートと筆記用具だけだけど。 「じゃあお先に~!!」 「あ、ちょっと待ってよ~!! ……もうッ。相変わらず逃げ足が早いんだからっ。」 沙也加の一人言を聞き流しながら教室を飛び出ると、向かう先は一つ。 一階上の、三年一組だ。