「いらっしゃいませ〜」

 若い女の人の案内で入り口近くの窓側の席に案内される。

「ふぁ〜、…あったかい」

「寝ちゃダメよ」

店内の暖かさに再び眠気に襲われているときに佳子から釘を刺され、欠伸を噛み殺す。

「ほら、何にするの?」

 メニューを開き見せてくる佳子。

「コレー!」

 にこーと、思いっきし頬を緩める。すると佳子がはあ、とため息をつく。

「なに?」

「教室でもそうやって笑ってたらいいのに」

「なんで?」

「そしたらいろんな男に告白されると思うよ」

「は?わけわかんない」

「あんた、クールな女の子で通ってるから男子が近寄りにくいんだって」

何回かあんたの番号教えてって私のとこに来た奴もいるからね。そうやって呆れたように私をみる佳子。

「佳子は私の前だとオカンだよね」

 ニッコリ笑って言うと佳子には大きなため息をつかれる。

「それは、あんたのせいだよ」

「え〜?」

 佳子は私の黒髪とは違い、明るい茶色に染めていて、男女共に交友関係が広い。

逆に私は交友関係が狭く、男の子との交流はないに等しい。

「まあ、へんな虫がつかないからいいけどね」

「オカンだ〜」

 クスクスと笑っていると佳子に軽く頭を叩かれる。


「お待たせしました」

 佳子と期末の結果について話していると頼んでいた品物を持った男の店員さんがきた。

「わ〜い!チョコパフェ〜!!」

ありがとうございま〜す、と言ってチョコパフェを受け取る。

「ほんと好きだね〜」

「うん!」

 ここのチョコパフェは量があるのに安くて、またまた濃厚なチョコの味とバニラアイスがバランスよくて、最後まで飽きずに食べれる。だから、ここに来ると毎回頼んでしまう。

「そういえば、幼なじみさんはいつ来るの?」

「ん?もう来ると思うよ」

「ふ〜ん」

 パフェの上に乗っかっているウエハースでチョコアイスをすくって口に運ぶ。

「いらっしゃいませ〜」

 お客が来たらしく、店員が入り口に向かう。