意地悪な君と優しい君

「うん」

「そうなんだ。一人で?」

私は何て言ったら良いかわからなかった。
ここで、違うよ。と言えばじゃあ誰と?と聞かれるかもしれない。
だから私は

「うん。一人だよ」

と言った。

「そっかぁ…図書室って静かで、居心地が良いよね」

「杉川裕も良くここに来るの?」

「クスッたまにね」

そういって微笑んだ。
笑った顔がすごく綺麗で、絵になっていて、ボーッとしてしまった。

「俺の名前知ってたんだ」

ボーッとしていたけど、杉川裕の声でハッと意識が戻った。

「うん。カッコイイって有名だし」

「それはどうも」

「俺も…君の名前知ってるよ」

「えっ…」

杉川裕が私の名前を知ってるなんて…意外だった。

「神崎秋…でしょ?」

「うん…何で知ってるの?」

「可愛いって有名だから」

「それはどうも」

さっきと同じ事を繰り返す。

「秋…って呼んでい?」

「う、うん」

杉川裕に私の名前を呼ばれた時、ドキッとした。
純の時とは違う気持ち。

「秋も俺の事名前で呼んで?」

「裕…君…」

「ははっ」

「何で笑うの?」

「だって…秋の表情が面白いから」

顔が赤くなっていく。

杉川君とは数回しか話してないのに…
仲良くなった気がする。
名前で呼ぶようになったし…まぁ、君付けだけど。
いきなり名前で呼ぶのは…やっぱ躊躇しちゃうし。

でも…嬉しい。
好きな人と仲良くなれるのは嬉しい。

その後、チャイムが鳴るまで二人で喋っていた。