頭に感じる冷たい感触に俺は目を覚ました。

俺と目が合うとさっと腕を引っ込める。


「あっ、えっと……おはようございます。」

「沢村……。」


今、俺、夢見てた気がする。

お前の夢……だったような。


「はい、そうです。」

「手、置いてて。冷たくて、気持ちいい。」


そんなに動揺するなよ。

今日は、イジワルで言ってるんじゃない。

ホントに、そうしててほしいんだ。


「あの、シート買ってきたんで、貼った方がいいです。あと、薬も飲んでくださいね。」


コンビニのビニール袋から熱冷ましのシートを取り出す。

俺は必死に体を起こし、大きく息を吐いた。

起き上がるだけで一苦労だ。


「少し、よくなりました?」

「んー、少しは。」

「起きたついでに薬も飲んでくださいね。」

「うん。」


薬を飲む俺を見て、沢村若菜は安心した顔をしていた。