誰かが俺の肩を揺する。

もう少し、寝かせてくれねぇか?


「先輩、起きてください!ダメです、こんなとこで寝ちゃ。家に帰りましょう?」


誰だ?

ぼんやりと見える姿がだんだんはっきりしてくる。


「先輩、わかりますか?」


沢村若菜……か。

何で、こんなところにいるんだ?


「あの、ここ学校なんで、家に帰ってください。先輩、多分、熱があります。」


学校か。

俺、学校で寝てたのか。


「戸締まりは私がするんで、先輩は帰ってください。」

「わかった。」


自分ではしっかりしているはずだった。

意識も、体も、何もかもいつも通り。

だけど、うまく立ち上がれなかった。

いや、立ち上がったけど、フラついた。


「先輩、お家は近くでしたよね?私が送ります。だから、少し待っててください。」