「この実験の目的はわかる?」


……うん。

誰も手を挙げない。

それなら、


「先輩の沢村さん。この実験の目的は何ですか?」

「……えっ、私ですか?」

「そうだよ、お前しかいないじゃん。」


お前がボケーッと俺の顔ばっか見てるからだよ。

不意打ちだよ、不意打ち。


「確か、――ですよね?」

「はい、正解。ちゃんとメモしとくんだよ。じゃあ、操作の説明に入ります。」


沢村若菜は2年生の誰よりも一生懸命俺を見ている。

そんなんじゃ、2年生にもバレるぞ?


「沢村、ビーカーとって。」

「はい。」

「ピヘット。」

「はい。」

「試験管。」

「はい。」


それだけあって、俺の言葉に対する反応は恐ろしく早いけど。