「川崎さん、ここってどうすればいいんですか?」

「この操作は温度を上げちゃいけないから、冷やしながら――」


最近、南さんがやたらと俺にくっついてくる。

ハッキリ言って、めんどくせぇ。

訊いてくることも、教科書に書いてあるようなことばっかりで。

もう、うんざりだ。

俺じゃなかったら、こんなに優しく接してないって、絶対。


「川崎さん、こっちはどうすれば……?」

「ごめん。俺、今忙しいから、シゲに訊いて?」


まっ、たまには突き放すけど!

じゃないと、俺の体が持たねぇ。


「それなら、いいです。急ぎじゃないんで。」


じゃあ、訊くなよ。

ため息が出そうだ。


「おい、ちょっと聞いてくれるか?今日の2年生の実験は、カワサキとシゲヤマ、あとは……3年生。手伝ってくれるか?」


よしっ、やっと南さんから離れられる!

ささやかな幸せ、ささやかな解放感。

南さんと先生が何か言い合っているが、多分、先生が勝つ。


「なんとかなると思います!」


波多江、ナイス!