「終わりました!」


さっき俺が声をかけた子が、わざわざ俺のところまで報告に来る。

すぐ近くにシゲがいるにもかかわらず。

まぁ、報告しろって言ったのは俺だけど。


「はい、お疲れ様。帰っていいよ。」

「ありがとうございました。」


ヒョコッとお辞儀をするが、帰る気配はない。

じっと実験している人たちを見ている。


「何?友達待ち?」

「あっ、そうです。」


ちょっと困った顔で応えた彼女。

どっちかって言うと、きみが早すぎるんだと思うよ、友達が遅いって言うよりも。

……ここで待つのか?その友達。

彼女は動く気配がない。

俺が何か話した方がいいのか?

うーん……。


「さっき、何で機嫌悪かったの?」

「別に、悪くなかったですよ、機嫌。」


いやいや、十分悪かったぞ、機嫌。

俺、噛みつかれるかと思ったし。


「そうなんだ。ピリピリしてたみたいだったけど?」

「気のせいです。」