昼ご飯を食べ終わると、俺はさっさと研究室に戻り席に着いた。

窓の外を眺める。

別に窓から覗かなくても、同じ研究室の中にいるんだけど。

物音がして振り返ると、沢村若菜が立っていた。


「おかえり。」


とは言ってみたが、沢村若菜は全然動かない。

自分の席に行けばいいのに……、あぁ、そっか。


「ごめん、邪魔だった?」


ここは沢村若菜の席だったな。

俺は引っ越しさせられたんだった。

立ち上がろうとする俺を、沢村若菜は必死に止める。


「そんなこと、ないです。」


そんなに首振らなくても。

俺もできれば観察したいんだよね、沢村若菜って人間を。


「そ?」


できるだけナチュラルに言って、俺はまた窓の外を見た。