「ただいまー」 当たり前に響くのは乾いたあたしの声。 悠希と2人で生活してても、大学からかえって響くのはあたしの声だけ。 「今日は帰り遅いんだっけ?」 受信BOXに確かにある --帰り遅れる-- の文字がなぜか無性に寂しく感じた。 気を紛らわせるために明るい音楽をかけて家事をこなしていく。 「夕飯は悠希の好きなもの作ろう!」 大きな音楽にかき消された着信音。 もっと早くに気づいていれば…。 もっと早く…………。