野球少年と彼女と私

相手は現役ヤンキー殿。
私は普通の現役高校生。

殴り合いは勿論、喧嘩をした事がない歴15年。

たかがヤンキー
されどヤンキー

‥‥‥やば‥やばい!!

正気に戻ったと途端、私の顔が青ざめるのが分かる。

そうだ、私、ヘタレなんだったよ。
なんて今更思い出す。

――‥ッ!!

「いっ‥!?」

――――‥‥痛‥‥‥‥くない???

え?
音的に今のは痛いよ‥?
私は、いつの間にか、つむられていた目をこじ開けた。

私の目の前には――‥大きな背中。
だんだん‥私の視界から消える大きな背中は‥前のめりになり倒れ込む。


短髪の男の人。
―‥哲平じゃない‥‥。

「向井‥先‥ぱ、向井先輩!!?」

止めに入った人に腕を掴まれていたのを振りほどき、向井先輩を抱き抱える。