忘れないよ










「でも・・・、雪菜は違う」








「そうなの?」








「雪菜は、俺達が捨てられたのは自分のせいだと思ってる。
自分は体が弱いから。・・・雪菜は悪くない。悪くないのに・・・」








雪弥は雪菜を見つめていた。








・・・寂しそうに。悔しそうに。








「そう・・・。
・・・さっき、要らない子、とか言っていたけれど・・・」








「あぁ・・・」









「捨てられた事と、関係ある・・・の、よね?」








「・・・はい。
俺達は、毎日要らない子、と言われて育って来ましたから。
捨てられて、その後拾われた三条という人の家でも、ずっと」









あたし・・・親友のこと、全然知らないんだな・・・。








知ろうともしなかった。








雪菜は明るい子だし、良い家庭で育ったんだ、って思ってたから・・・。








「それは、雪菜さんに対して?」








「まさか。
俺達2人に対してです。
でも、俺は褒められたくて、勉強も運動も頑張った。
テストで満点だと、必ず褒めてくれた。
そのことで、雪菜は自分が要らない子なんだ、と思ってしまったんだと思います」








「・・・そう」








「今日も・・・そうだ」








雪弥は、再び雪菜の髪を優しく撫でた。








「休み時間が終わって、雪菜が教室に戻ろうと廊下に出た時
・・・雪菜を目掛けて、野球ボールが飛んで来たんです」








「本当に雪菜さんを狙って?」








「それは分からないけど・・・多分」








「誰が投げたか、分かる?」








雪弥は首を横に振った。