「さっき、捨てられたって言ってたけど・・・」
「本当ですよ。
俺達は、生まれつき体が弱くて・・・両親は俺らを嫌ってました」
小1からずっと一緒にいたけど、捨てられたなんて知らなかった。
「いくつの時に捨てられたの?」
「・・・4歳の、誕生日。あの日のことは絶対に忘れない」
「そうよね。辛いものね」
「それだけじゃありません。
4歳の誕生日、雪菜は熱を出していました」
雪弥は、雪菜の元まで歩き、雪菜の髪を優しく撫でた。
撫でながら、雪弥は言葉を続けた。
「39度5分。すごく辛そうだった。
なのに、両親は、“もう疲れた”って言って、俺達を捨てた」
「雪弥くん・・・」
「雪菜を起こして、俺達を家の外に出した。
中から鍵も掛けて・・・、二度と私達の前に現れるな。って言った」
雪菜の髪を撫でる雪弥の手は、止まっていた。
「・・・そう。
雪菜さんは、その夢を見たの?」
「そうみたいです。
・・・俺は両親を恨んでる」
「そう」


