忘れないよ










「はい、終わり」








「ありがとう・・・ございます」








「いいのよ。
・・・じゃあ、そろそろ事情を話してくれる?」








「あ、はい。
・・・雪菜はちょっと眠ってな」








優しく微笑みながら雪弥は雪菜にそう言った。








「・・・大丈夫・・・だよ?」








「昨日、眠れなかったんだろ?
・・・それに聞きたくないだろ、だから丁度良い」








「でも・・・」








「いいわよ、雪菜さん」








「じゃあ・・・」








そう言って雪菜はベッドに入った。








「え・・・っと、
梓紗は知ってるだろうけど、雪菜、毎日休み時間に俺の教室に来てるんです」








「何か、話でもあるの?」








「いえ、話は特に何も」








「そう」








雪菜が眠っているベッドから、寝息が聞こえた。








「・・・眠ったみたいですね」








「そうね。
・・・じゃあ、今日はどんなこと話したの?」








「今日は・・・、雪菜が見た夢の話です」








「どんな夢?」








「・・・両親の夢」








雪弥は、雪菜の方を見ながらそう言った。