忘れないよ









「・・・とりあえず、血が止まったら病院に行きましょう」








雪弥の目にガーゼを貼りながら、保健室の汐見先生は言った。








「はい」








「ご両親は?」








「・・・いません」








汐見先生は、不思議そうな顔をした。








「いない・・・って?」








「・・・あたし達・・・、捨てられたから・・・」








震える声で、雪菜が答えた。








「今は、親戚に毎月お金を振り込んでもらって、2人で暮らしてます」








「・・・そう・・・。
え、っと、事情を知っているのは誰?」








「あたし・・・です・・・」








「名前は?」








「清水・・・雪菜・・・」








雪菜の体は小刻みに震えていた。