忘れないよ










「優しすぎるよ・・・珍しく」








「珍しくは余計だ」








「あははっ・・・、ばぁか」








「泣きながらバカとか言われたくないね」








竜はあたしの涙を拭った。








「竜のせいだし」








「なんで俺?」








「竜が、あたしをかばうから・・・」








「ははっ、そんなことで泣くなっつーの!」








もー・・・っ








でも、ありがとうね。竜・・・。








「うるさいなぁ」








「毎日かばってやるよ」








「毎日泣かせる気?」








「うん。
梓紗の泣き顔、超可愛いからな」








カァァァって、顔が赤くなるのが分かった。








「な、何それ!」








「照れてんの?」








「照れてなんかないっ」








「じゃあなんで顔赤いんだよ」








竜に、可愛いなんて言われたの久しぶりだから・・・。








小さい頃は、よく“あーちゃん、可愛いね”って言ってくれてた。








でも大きくなって、全然言わなくなった。








最初の方はちょーっと悲しかったけど、そのうち慣れちゃった。