「大人になったから」
「っ・・・」
「こっち向けよ、梓紗」
あたしは、竜に涙を見せていいの?
「・・・」
「あーずーさ、早くしねぇと俺がそっち行くぞ」
それは嫌だけど・・・。
竜の方向いていいのかな。
もし竜が、哀しそうな顔してたら・・・。
・・・できないよ。
「ったく・・・」
竜は、
あたしの目の前に座った。
「え・・・」
「大丈夫だっつってんだろ?」
竜は、優しく笑った。
それは、無理してる笑顔じゃなくて、心からの笑顔。
「竜・・・」
「俺はお前を守る。
何が何でも病気治してみせる」
「・・・うん」
「絶対、死んだりしない」
病気は治らない。
それは竜も知ってるはずだった。
けどね・・・、
今はどうでもいい。
なんか、ほんとに治りそうな気がするんだ。


