「・・・ははっ、気のせいじゃない？」
「今も、おんなじ顔してる」
「え・・・？」
あたし、ちゃんと笑えてるよね？
瞳に涙が溜まって、溢れそうになった。
泣かない・・・、泣かない・・・。
あたしは、竜に背を向けた。
竜に涙は見せない。
竜には笑顔だけを見せるの。
「梓紗、俺なら大丈夫」
「・・・え」
「子供ん時は、俺は長く生きれないのに、
なんで俺より何年も生きれるお前が泣くんだって思ったけど・・・」
そう、あたしが竜に涙を見せないわけ。
・・・それは小さい頃、
あたしはお母さんに怒られて泣いてた。
その時、竜はこう言った。
『何泣いてんだよ。
お前なんて、俺に比べたらどうってことないだろ！』
竜が初めてあたしを怒鳴った。
それ以来、あたしは竜に涙を見せなくなった。
見せたら竜が悲しむ。
そう思って、ずっと・・・・・・。
