忘れないよ










―――10分後








「・・・落ち着いた?」








「あぁ」








今回のは軽かったけど、ひどい時は死にかけるんだから。








「さ、学校行くか」








「悪い、俺のせいでまた遅刻だな」








「別に竜のせいじゃない」








あたしは歩き出した。








「梓紗っ」








しばらくして、竜が、また数メートル先で叫ぶ。








「・・・何?」








振り返らずに、立ち止まった。








「なんで怒ってんの?」








「・・・だから、怒ってないって」








「何年一緒にいると思ってんだよ。
・・・14年間、ずっと一緒にいるんだぞ」








分かってる。








産まれた時から、ずっと一緒。








同じ病院で同じ日に産まれて、いつも隣には竜がいた。








ずっと、大好きだった。








「・・・中途半端な気持ちで、」








「え?」








「中途半端な気持ちで、キスなんかしないで!」








そう叫んで、あたしは走り出した。