僕は無性に腹が立った。

確かに僕には好きな子がいて、でもその子は今学校に来られない。



ほんの小さなことだった。

花瓶の水を変えようとしていたときクラスの男子がぶつかって、その水が運悪くいじめっ子にかかってしまって。

当然、怒ったいじめっ子はその子をいじめはじめ、とうとう学校にも来れなくさせた。

いじめっ子に逆らえない僕たちはその子が泣いても見て見ぬふりしかできなかった。

それが今僕が直面している悩み。



好きだから守りたいのに、勇気がない僕───そんな自分の情けなさに腹が立ったんだ。



「ぼ、僕・・・・」


いじめっ子に立ち向かうよりも、目の前のヤンキーサンタのほうがずっと怖い。

ヤンキーサンタに立ち向かえないなら、いじめっ子にだって立ち向かえない!

僕はグッと腹を決めて、めいいっぱい叫んだ。


「僕がカナちゃんを守るんだ!」



───バチッ、バチバチ、バチバチバチッ、ぽんっ!


すると、また花火のような音が鳴って、ヤンキーサンタは姿形もなく消え去った。