───バチッ、バチバチ、バチバチバチッ、ぽんっ!


「お前、最近めちゃくちゃ悩んでんだって?」


それは、クリスマスの1週間前のことだった。

僕が寝ていると枕元で突然花火のような音が鳴り、中から人が現れたんだ。


「あ、あ、わわわわ・・・・うわ──んぐぐっ・・・・!」

「うるせーなー」


もちろん僕は悲鳴を上げて助けを求めようとした。

けれど、それは寸前のところで止められ、代わりにそんな言葉が頭の上から降ってくる。


「お前、声でかすぎ!」


ポカッ。

そして、恐怖で動けない僕にそう言うと頭をグーで殴る。


「いいか? よーく聞けよ」


続けざま、そう言いながら人差し指をピンと突き立てる変な人。

その姿は格好こそ僕が知っている“サンタ”そのものだった。

けれど、どこからどう見てもヤンキーなのだ。


その凄味に押され、カクカクと頷くしかない僕。

それを見ると、ヤンキーサンタは満足気にニッと笑った。

・・・・どうやら僕には、初めから選択肢はなかったらしい。