◇◇◇



「わぁ〜、この子が例の!」

「はい。『クリスマス∞ドール』のモデルです」

「なんだか今にも動き出しそうな感じがしますね〜」

「ええ、本当に」


それから1年後───・・。


わたしは今も松田さんがいるこのショップ、『milk*crown』でドールとして生きている。

あれから松田さんは、オリジナルの服の製作活動をはじめた。

そして1年後の今日・12月25日のクリスマス限定で、その服をショップで売ることになった。


開店間際、松田さんの手によって着飾られたわたしは、ショーウインドーの前で地元雑誌の取材を受けている彼をそっと見ていた。

嬉しそうに取材に答える松田さんは、あの頃と同じニコニコ笑顔。

店長が編集長と古くからの友人らしく、彼がオリジナルの服を作りはじめるとすぐに、そのことが雑誌に掲載された。


専門学校の生徒たちもボランティアで編集に携わるというこの雑誌は、服飾系の仕事を目指す若きクリエイターの卵たちも多く。

記事が支持を集め、松田さんはちょっとした有名人になった。