ここに来る前、サンタの格好をした女の子がキャンペーンか何かで配っていたメッセージカード。

それを、松田さんがプレゼントしてくれたバッグの中に入れた。


すると、それを合図にしたかのように大きくなる鈴の音。

・・・・とうとう本物のサンタさんがわたしたちの前に舞い降りた。


昨夜見たのと全く同じ。

赤い服、赤い帽子、黒いブーツ。

白くて立派なひげに、淡いブルーの綺麗な瞳。

ソリにはパンパンに膨らんだ大きな袋が積んであって、それを引くのは2頭のトナカイ。


「・・・・」


松田さんは、声も出せないくらいに驚いている様子。

本物のサンタさんが、まさかあらゆるところで目にする“あの”サンタさんだなんて思わないよね。


サンタさんは、あの優しい微笑みを松田さんに向け、それからゆっくりとわたしに移した。

わたしはこくりと頷く。

いよいよ・・・・なんだ。

これで本当に最後。


ありがとう、松田さん。

ありがとう、サンタさん。






わたし、幸せでした───・・。