そうして落ち込んでいる間にも、松田さんはショップに入っていって、そして出てくる。
「お待たせしました。店の人たちにも話してきました」
「・・・・はい?」
「お客さんで拾ったバッグを持ってくるかもしれないから、その人が来たら預かってほしい、って」
「そうですか・・・・。本当にすみません。ありがとうございます」
そんな人、いくら待っても来るわけないじゃないですか。
どうしてそんなに松田さんは優しいの? わたし・・・・。
罪悪感に押しつぶされそうで、申し訳なくて、涙が出てくる。
「さ、行きましょう。泣かないでくださいよ。大丈夫です、僕が絶対見つけますから」
「・・・・」
松田さん、わたしの涙はそんな理由じゃないよ・・・・。
もういい。
もういいから。
そんなに優しくしないで・・・・。
「あのっ!」
わたしは、また手を引いて歩こうとしてくれる松田さんを止めた。
ぴたっ。
松田さんの体が、歩き出そうとしたままの格好で止まる。
「本当にもういいです」


