【クリスマス短編-2009-】クリスマス∞ドール。

 
そうして落ち込んでいる間にも、松田さんはショップに入っていって、そして出てくる。


「お待たせしました。店の人たちにも話してきました」

「・・・・はい?」

「お客さんで拾ったバッグを持ってくるかもしれないから、その人が来たら預かってほしい、って」

「そうですか・・・・。本当にすみません。ありがとうございます」


そんな人、いくら待っても来るわけないじゃないですか。

どうしてそんなに松田さんは優しいの? わたし・・・・。

罪悪感に押しつぶされそうで、申し訳なくて、涙が出てくる。


「さ、行きましょう。泣かないでくださいよ。大丈夫です、僕が絶対見つけますから」

「・・・・」


松田さん、わたしの涙はそんな理由じゃないよ・・・・。

もういい。

もういいから。

そんなに優しくしないで・・・・。


「あのっ!」


わたしは、また手を引いて歩こうとしてくれる松田さんを止めた。

ぴたっ。

松田さんの体が、歩き出そうとしたままの格好で止まる。


「本当にもういいです」