この笑顔も。 この声も。 歩く姿も。 ときどき振り返って、わたしのことを待ってくれる松田さんも。 「ちょっと歩くの早いですか?」 「いえ、大丈夫・・・・わぁっ!!」 ぽすっ。 よろけたわたしを抱き止めてくれる、この力強い2本腕も。 「ぷっ。大丈夫じゃないじゃないですか。手、つないでおきましょう。コケるときは一緒です」 「・・・・す、すみません」 すっと差し出してくれた、ちょっと冷たいその右手も・・・・。 全部、全部、夢じゃない。 たぶん。 きっと。 これは。 ・・・・夢じゃない。