「西野さん、きっと犬みたいに大喜びだろうなぁ」


ぽつり。松田さんが言う。

松田さんも同じこと考えていたんだ・・・・言えないけど嬉しい。


「なに笑ってるんですか?」

「えっ? その、犬みたいって、本当にそうなのかなって思って」

「あぁ!そうですよ、本当に活発な女性なんです。体力だって、僕よりずっとあるんですよ」


危なかった・・・・。

わたしも犬みたいにはしゃぐ西野さんを想像してました、なんて口が裂けても言えない。

一晩でだいぶ嘘がうまくなった自分に、なんだか罪悪感。


「西野さんって、僕の同僚なんですよ。長いんですよね、あそこで働き始めてから6年くらいって言ってました」

「へぇ〜!」


わたしもそれは知らなかった。

そんなに長くいるんだ、へぇ〜。


「あ!西野さんの話なんてしている場合じゃなかった。とりあえず昨日通った道を戻ってショップまで行きましょう」

「・・・・あ、はい」

「きっとすぐに見つかりますよ」


“大丈夫”と頷いて、松田さんはまたニコニコ笑った。