◇◇◇



「ん、んん〜・・・・」


翌朝は鼻を刺激する美味しそうな匂いで目が覚めた。

寝ぼけ眼で松田さんを探すと、キッチンの冷蔵庫の影からチラチラとその姿が見え隠れしている。


「お、おはようございます」


せっせと動く後ろ姿に恐る恐る声をかけると・・・・。


「うわっ!!」


本気で驚かせてしまったらしく、松田さんは危うくオタマを鍋に落としそうになった。

でも、すぐにニコニコ笑って。


「おはようございます。よく眠れましたか?」


そう聞きながら、今度はフライパンに卵を2つ落とした。


「はい、とっても」

「それはよかった」


松田さんの手際のよさに見惚れながら、そんな会話。

もちろん料理を作ったことはないし作り方も見たことはないけど、そんなわたしにも分かるくらい松田さんは手慣れていた。


「何から何までお世話になっちゃって・・・・。本当にすみません」

「いいえ、とんでもない。にしても、なんだか昨日と逆になっちゃいましたね」

「そういえば!」