───シャンシャン
   シャンシャン・・・・

   シャンシャン
   シャンシャン・・・・


誰もが寝静まった真夜中にその鈴の音が聞こえていたのは、きっとわたしだけ。

きっと、わたしだけ・・・・。





━━『1日だけ、キミを人間の体にしてさしあげよう』━━





ふわり。

アスファルトに降り立ったその人は、わたしに優しいほほ笑みをたたえたまま言った。


赤い服、赤い帽子、黒いブーツ。

白くて立派なひげに、淡いブルーの綺麗な瞳。

ソリにはパンパンに膨らんだ大きな袋が積んであって、それを引くのは2頭のトナカイだった。


白い息をほぅほぅと吐きながら、その人はもう一度言う。





━━『1日だけ、キミを人間の体にしてさしあげよう』━━





そして───パチン。


指を鳴らす。





───シャンシャン
   シャンシャン・・・・

   シャンシャン
   シャンシャン・・・・


鈴の音が聖夜に優しく鳴り渡る。