翌日、
入院する貴也の元へ、
優子の母、
和江が訪れました。

「貴也君、
 大変だったわね、
 容体の方は大丈夫?」

「ええ、
 わざわざ来てもらって
 すみません。
 そちらも大変な時なのに…。」

和江は、
優子の葬儀を
終えたばかりにも
係わらず、
貴也の元へ
見舞いに来てくれたのです。

「貴也君には、
 本当にお世話に
 なったから、
 お礼が言いたくて…、
 本当にありがとうね。」

和江は深々と
頭を下げると、
貴也もお辞儀を返し、
言いました。

「優子、
 苦しまずに
 逝ったって聞いて、
 それだけが救いだなって…。」

和江はニコッとしました。

「そうね、
 それにね、
 貴也君の事、
 死ぬ間際まで
 気にかけてたのよ。」