事件が起きたのは私が中学1年、翔太が小学6年の時だった 夜の9時頃 まだ肌寒い5月の半ばだった 『もしもし?理奈ちゃん?翔太がお邪魔してないわよね?』 翔太のお母さんからの電話 緊迫した喋り方に私は何かを感じた 『まだ翔太帰って来なくて…最近ずっと遅かったんだけどね。今日は特に遅いから…何してるかもわからないのよ』 おばさんは涙を堪えているようだった 『大丈夫だよ。翔太は変な道にそれるようなヤツじゃないから。うちも探すよ。』 私はそっと電話を切り、中学の青いジャージのまま暗い外に出た