『ん・・・・ここ、は・・・?』
高い天井に、和風を思わせる電気。
柔らかい布団の上、ゆっくりと体を起こした。
『レティシア・・・・
でも今は他人なんて関係ない。他人は他人だ。邪魔なだけなんだ。』
他人は関係ない。と思っているが、今、他人に助けられている。
『情けないな。ここ、他人の家だろ。』
そう言えば、この家の人が治療してくれたのだろう。
『ここの人に会いに行ってくるか。
・・・・嫌だけど。』
部屋は和室の畳の匂いがする。
小鴉が、無い・・・―!?
『まじかよ。おぃ、小鴉どこにやったんだよ。ないぞ!ったく、会う必要があるのかよ。』
愚痴りながらも、和室から出た。
長い木で出来た廊下がずっと左右に続いている。
『(うわっ・・・・長い廊下だな。・・・金持ちの人の家か?)』
見渡すと壁の所々に煤やら蛛の巣っぽいものが付いている。
『(随分手入れしてない家だな。大体、豪邸には和室ってものがある・・・・―)
!?』
近くの扉を開けると気持ち悪いほどに置かれたヌイグルミの数々。全てこちらを向いている。その部屋の真ん中には天上付き巨大なベットが蛛の巣まみれで置かれていた。
『いや、和室より、今の疑問はここの気味悪い子供部屋!なんでヌイグルミがこっち向いてるわけ?なんでお化け屋敷みたいに不気味な程、蛛の巣がベットに付いてるわけ!?』
夜に入ったら何かが出てきそうだ。
「あ!気が付いたんだね。」
声をかけられてさらにびっくりした。
『なっ、何だよ。つか、誰だ・・・?』
振り返ると身長150cmぐらいの小柄な少年(少女の可能性もあり)が自分より少し長めで売ると高そうな呪杖を持って立っていた。クリーム色のはねっ毛から覗く紫(!?)の瞳は真っすぐこちらをみている。
「驚かしてごめんなさい。ボク、ほくとっていいます。えっと、体の方は、大丈夫ですか?」
『そうだった。小鴉はどこだ!?あの、刀だ。』
ほくと「お兄ちゃん、なんか玉斗と似てる。」
『はぁ!?玉斗?ってか僕の質問に答え・・・―』
言葉を遮られた。