今、月鴉は夜になるまでちゃっかりと、ほくとの家にいる。
『(くそッ・・・・小鴉、本当にどこにいったんだ?玉露が盗んだとしても、理由が分からないし、ほくとの可能性もあるが・・・・理由がな。)』
和室に敷かれた布団の上で胡座をかいてちゃっかり座っている。
『(あの女にも可能性はあるな。)』
あの女とは、クレシアの事だ。
『月鴉で何かに襲われたら、反撃出来ないぞ。呪紋ったって、まともに使えねぇし・・・あぁ、畜生。』
月鴉は、小鴉を使い分けて闘ってきた。

●両刀・小鴉(みねがなく、どちらでも切る事が出来る刀。真ん中に黄色い筋が入っている。やや攻撃重視。)
●双刀・小鴉(両刀・小鴉の約半分程の長さの二刀流。みねがある。攻撃力、呪紋力とも優れているがやや呪紋重視。)
●両双・小鴉(双刀・小鴉のみねがあるバージョン。どちらも優れている。)
●重刀・小鴉(両刀・小鴉より長く重い両手剣。だが、月鴉には重た過ぎなのか、使った事はない。攻撃重視。)

の四つに小鴉は変化する。
ほくと「ねぇ、月鴉。」
いつの間にかほくとがいた。
『なっ・・・・何だよ。いきなり。』
ほくと「いきなりでごめんね。あの。玉斗に月の神が憑いてたら、いつまでたっても、玉斗は月の神に操られるんでしょ?」
『僕は、この地の都市伝説に詳しくないし、神の事についても、よく分からない。クレイモアに聞いた方が早いんじゃ・・・・?』
実際、クレイモアではなく、クレシア。
ほくと「そうなんだけどさ・・・・憑かれたら、憑かれた人が死なないと行けないんだよね・・・・?」
突然、ほくとが泣声になって喋った。
『ん?まぁな。それは知ってる。それを承知の上、玉露は‘月雫’に触ったのなら、自業自得だ。』
ほくと「なんで神は意地悪なの・・・?」
『僕に聞かれたって・・・』
ほくと「どうして、神に憑かれた人が死なないと離れないの・・・神は、そんな事するものであって欲しくないよ・・・・」
『ほくと、いい所悪いが、教えてくれ。月の神のの名前はなんだ?』
ほくとは黙って俯いた。
ほくと「信じたくないよ・・・・
月の神の名前は、‘玉兎(ぎょくと)’」