「馬鹿ねえ、あんな寒空の下で何時間も座っているからよ」
 ごもっともな指摘が気だるい体に突き刺さる。そうですよね、と心のなかで呟いて、なんだか泣きたくなった。体調が優れない日というのは精神的にも落ち込みやすい。
 頭まで布団を被りシオリの目から身を隠すと、彼女の気配が遠のくのを感じた。とうとう見放されてしまったのだろうか。
 あたしの体温を吸い込んだ布団のなかに全身を埋めていると、頭が鈍く痛むことに気が付いた。本格的に風邪みたいだ。昨日の自分の無茶を振り返ってげんなりする。シオリが呆れるのも当たり前だ。
 今日はもう学校に行きたくないな。
 そうは思うものの、学校を欠席したからといってゆっくりと部屋で休んでいられるわけではないってことは、いくらあたしだって理解している。
 シオリにだってなにかしら用事があるかもしれない。親と縁を切ったと話していたから、生活費を工面するために仕事もしているだろう。